カンフーハッスル

 すげー面白かったです! 同じ監督の前作「少林サッカー」に比べてストーリーにまとまりがない、残酷描写にひく、とあまり芳しくない前評判を聞いていたので期待せずに観に行ったんですが。違うよ! 話が無軌道に広がってゆくのも、人の死が軽いのも、話の先が読めないドキドキ感を煽り続けるため。あれは、昔の少年バトル漫画のダイナミズムなんだよ!

 映画全編に渡ってずっと面白いところだらけで語ってゆくとキリがないんですが、そのひとつはオチが良かった。カンフーハッスルは、どこまでもバトルが拡大してゆく「終わらない物語」。マンガでいうとドラゴンボールとかダイの大冒険とかYAIBAとか、マンガが終わった後も主人公は冒険し続けていると語ってしめる。その終わりを、あんな人を食ったハッタリでシメるのが斬新で爽快でした。

 メタ視点で読むと、自分が「カンフーハッスル」をとんでもなくものすごく楽しんだ後に、監督のチャウ・シンチーから「でもこの映画なんて、少年マンガ(又はカンフー、映画、ホラ話etc.)の面白さのほんの一部分でしかないんだぜ」と不敵に笑いかけられたみたいな。泣ける。

 ティーン・タイタンズを見て、外国人が日本マンガの感性を身につけるのは難しいんだろうなあと思ったこともあったけど、見くびってました。日本人以上に日本のマンガを理解して、自分の国の映画に取り込んでいる。この娯楽力、見習わなければ。