斬魔大聖デモンベイン―機神胎動

鬼才・古橋秀之が挑む『デモンベイン』外伝!
大十字九郎とアル・アジフの出会いより数十年前……謎めいた大富豪・覇道鋼造を追う新聞記者エイダは、魔導書ネクロノミコンを携えて鬼械神アイオーンを駆る魔術師と遭遇。それは全世界規模の魔戦の始まりだった!

 すげー面白かったー! PC版デモンベインが第二話終了したところで中断したままなのに、ガマンできずつい読んでしまいました。濃さとテンポの良さが兼ね備わった古橋節がたまらねー。キャラが立ってて、文章が映像的で、次々とトラブルが起こって飽きさせない、極上のエンタメ映画を観終えたような読後感。


 恋人の仇を追う復讐者ってプロットは著者のデビュー作「ブラックロッド (電撃文庫)」と似ているのですが、それでいて全く別のドラマが展開されています。デビュー作のケイオスヘキサ三部作のインパクトがあまりにも強すぎたせいで、著者から王道をひねた作品を作るイメージが拭えないのですが、変化球だけでなく直球も凄いんだぜー。


 「サムライ・レンズマン (徳間デュアル文庫)」でもレンズマンの設定を消化しつつ見事に世界を膨れさせていましたが、こちらもクトゥルフ風の怪奇譚を挟んだり芸が細かい。


≪以下ネタバレ注意!(反転)≫
 下に紹介した『クトゥルフ神話ガイドブック―20世紀の恐怖神話』内にて「ナイアルラトホテップが白人なのが引っ掛かる」と書かれてました(まあ、黒髪で黒い服なんで黒い人ってことにはなってます)が、こちらでは肌が黒い人になって登場しています。ニアーラはナイアルラトホテップの別読みからとった名前でしょう。何のためにエイダのメイドになっていたのかは謎ですが、そこはまあ、なんつーかノリで。(^^;

 「さっさとパンツをお穿きなさい!」に吹き出したり。アズラッドとアル・アジフの契約シーンが官能的でよろしー。たまに不意をついてリリカルだ、フルハシ。